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@kai_mutterの二次創作置き場

オタクが常にジャンルを反復横跳びしてる

あの瞬間に見えたのが君だったから
・ブルーノの独白文。
#ブル遊

 存在が消えてしまうということは一体どういうことだろうかと考えると答えのない永遠の螺旋階段を上り続けているような感覚に陥る。ボクは遊星、君の中から消えてしまわない為には何が最も有効であるかその方法を考えたりもするけれど、つまり君がボクを忘れなければ良いのだ。という結論に至った。誰も彼もが結局は記憶の中にしか存在できない。もし君がボクのことを何も知らない人間になってしまったとしたら、その君の前にボクが立った時、君はボクを他の大多数の見知らぬ人間と同じく自分の与り知らない領域へと捕縛してしまって、二度と思い出すこともないだろうと思う。君がボクをブルーノだと認識するに必要なのは共に過ごした記憶であって、それは想い出であって、さて忘れてしまえばボクは君の中から完全に消滅するのだ。肉体が目の前にあったとしてもそれを定義するものが無ければそれはただの置物にしか過ぎない。君はきっとボクに一瞥をくれるだけで、何事もなかったかのように立ち去るだろう。
 そんなことが起きないように、ボクは君の中に確実に居座る為に、ボクの全てを君に託すことにした。君の全てをボクで埋め尽くそうと思った。これはボクの単純な意地なのかも知れない。ボクの我が儘な、未練と執着による一種の当てつけ。この世界に残ることが出来なければ、せめて君の中にだけはずっと生きていたかった。生きることが心臓の鼓動の連続だけでなければ、ボクは血も肉も燃え尽きてしまって構わない。そこで全ては完成する。ボクの時間が完全に停止した瞬間、ボクはボクを確立させる。ブルーノという存在は確かに生きていたんだ、って。そうして何度も何度も君はボクを思い出して、その度にボクと抱き締めた感情や感触や、或いは詰まらない衝突による酷い会話とか、苛立ちだって心の深いところから引き出してくるだろう。
 けれどもその最後に、一番最後に浮かび上がってくるものが、ボクと交わした愛おしい言葉であれば嬉しい。熱情の火照りが指先に宿って、それを何とか分けようとして四苦八苦していたり、伝えたくても声にならずただその目を見詰めていたこととか、そういうボク等の短い恋の記憶もぽつりぽつりと思い出してくれれば。
 その時に君が笑っていてくれれば、その瞬間、ボクは君と生きている。畳む