5. タイム・フライズ 地に突っ伏す敵アバターが増えれば増えるほど、階段を一段飛ばしで駆け上がるような勢いで、アカネは気分が上昇していくのを感じる。燃料となるのは達成感だけではなく、訓練終了が近いことへと嬉しさも加わっていた。しかしそこに、タイセイに『見られている』ことが一因としてあるのは、アカネ自身、当然過ぎて気づいていない。 一発、二発、三発。連続で撃ち出された銃弾がアバターに命中すると、アカネの搭乗する機体にその場で飛び上がらんばかりの音声が響く。「すごいね、アカネ! E6の稼働率、前の数値よりずっと良いよ!」「これくらい普通だよ」「ううん、すごい! 高輪先生から教えてもらったこと、全部実践できてるってことでしょ。普通じゃできないことだよ!」 手放しで褒められることが、ここしばらくなかったせいだろうか。こんなにも自分は褒められ慣れていなかったか? E6に接続されたタイセイの、まるで自分事のように喜ぶ映像を、アカネは気恥ずかしくて直視できなかった。「まあ、上手くこなせたほうかな」 嫌味に聞こえてもおかしくない言葉でさえ、タイセイは額面どおり受け取り、また喜んだ。 個人シミュレーションを終えると、モニタールームでタイセイが待っていた。パイロットスーツを着こなして、『普段どおり』にパネルを操作する。すぐに画面が切り替わり、壁のモニターにはいくつかのグラフが映し出された。「お疲れ、アカネ。訓練初日のスコアと比較すると、三割くらいアップしてるみたい。一昨日からは、ここは上昇していて、こっちはばらつきが減少してる」「そうか……そこそこだな」「そんなことないよ! やっぱり、僕のアカネはすごいなあって思って、」 直後、タイセイが「あっ」と口を覆った。アカネは聞き逃さない。「え?」「いや」タイセイの言葉を頭の中で復唱し、はた、と気づく。「『僕の』……?」「あ、え、と」「ふうん、そうか。悪くないね」「ちが、あの」「なんだ、違うのか」「アカネっ……!」 アカネが一歩距離を詰めれば、タイセイが一歩下がる。しかし、広いわけでもない室内の、ましてやモニター前であれば、互いの距離がゼロになるのはすぐだった。「……あの、アカネ、近いよ」「僕は『君の』なんだから、これくらいの距離で普通だよ」 所持品は、肌身離さず持っておくものだろ? 念押しのように告げるアカネに、弱ったタイセイは何も言えない。 アカネの早朝トレーニングは毎朝五時にスタートを切る。ストレッチ、ランニング、クールダウンまでを毎日することで、日常のリズムを保っている。合宿中も変わることなく、特別なことがない限り欠かすことのない、いわゆるルーチンワーク。 だから、アカネがアラームを切り忘れていたことに気付いたのは、それが鳴り響いてからだった。 ばねのように身を起こす。ばっ、と急いで枕元のスマートフォンを操作して音を止め、スヌーズ機能をオフに。画面上のボタンをタップされると、電子音は水をかけられたロウソクのごとく瞬時に消えた。画面には浮かび上がる設定どおりの時刻は、確かにアカネにとって起床する時間ではあったが、今日は『特別』な朝だった。 冷や汗がひくと同時に、はーっ、と安堵の息が漏れる――タイセイが起きなくて良かった。 ベッドの上に座り直すと、きしり、どこからか音がした。はっ、とアカネの目が、隣で眠る少年へと移る。こちらへ背を向けたまま肩が上下して、そこから生まれる小さな呼吸は、内緒話のように耳へと届く。 少し明るい室内は、昨夜から点けっぱなしのままとなっているベッドサイドの照明のせいだが、部屋を見渡せばカーテンの縁は既にうっすらと白んでいた。向こう側に、朝の気配を感じる。 もう、そんな時間か。 光を目にして、アカネは自分が簡単な着衣のままであることを思い出した。徐々にはっきりする意識のなかで、ぽつりぽつり、水の中から泡が浮かび上がるみたいに、深夜のことを思い出す。 最低限、身体を拭き取って、ふたりして眠りに落ちたのだ。Tシャツと下着だけで布団にくるまる場所は、決して広くはなかったけれども、そのほうが彼らにはちょうど良かった。肌を寄せ合い、シーツの上だけが自分たちの世界であるかのように、丸くなる。何度も好きだと言い合ったことは印象深い。その響きに押されて、意識がほどけて、自分のかたちがおぼろげになる感覚は、消えないインクで脳内に直接書き込まれたみたいに残っている。 忘れられない、ずっと、これからも。少なくともアカネはそう確信している。 恥ずかしかった。苦しく、でも嬉しかった。気持ち良くて、極上の、二度と味わえない時間。 まだ夢のような、すべてが真新しい記憶に、アカネの腹の奥から何かが吹き出しそうになって、思わず膝を抱える。 再び、タイセイを見下ろす。眠るその背へと、シャツ越しに触れた。とく、とく、小さな音が振動となって、アカネの手のひらに伝わる。温かかった。 けれども、鼓動が少しずつ速くなっているような気がして、アカネに疑問が浮かぶ。つう、と背骨を辿れば、手のひらはすぐに腰へと到着した。そこを撫でて、口を開く。「――タイセイ、起きてるんだろ」 上下していた身体が、一目で不自然と分かるほどに停止した。 やっぱり。 覗き込むよう馬乗りになれば、ぎしっ、とベッドが揺れる。その下で、タイセイは腕で顔を隠して、それでも小声で「おはよう」と呟いた。あ、第一声がそれなんだ。「おはよう。その様子じゃ、僕を見てはくれないのかな」「恥ずかしくて……見られないよ……」「……それは僕もだけどね。でも、君のことを最初に見たい」 今、どんな顔で、どんなことを考えているのか。 そっと腕を退けると、おぼつかない視線のまま、タイセイが見上げてくる。起き抜けすぐの瞳に映るのが自分であることが、こんなに嬉しいものなのか、とアカネの心臓がうるさく鳴る。「タイセイ」 名前を呼ぶと、ところどころ跳ねた髪で、顔が上を向く。「僕を受け入れてくれて、ありがとう」「……僕も、ありがとう、アカネ」 頷き合って、頬が緩む。どちらからともなく、唇を重ねる。 その後、備え付けられたシャワーで身体を流し合う時、昨晩の名残とともに思い出してしまって、遅刻しかけたことは彼らだけが知ることである。「あ、先輩。お疲れ様です。もう終わってたんですね」 開いた扉の奥から、見知った顔が現れた。あとはシオンが戻れば、この強化合宿最後の訓練も終わりだ。「お疲れ。テンの調子はどうだ? リョータ」「あ、ふ、ふたりとも、お疲れ様」 アカネとタイセイがともに迎え入れると、テンに続き、リョータが後頭部で手を組みながら苦笑する。「僕のスコアは、それほど変わりありません。すみません……」「いや、それは違うっつうか、高得点なのがずっと続いてるっつうかさ……」「出し惜しみはしないようにしてるので」 へへ、と頬をかくテンを、「でも戦い方の幅が広がった感はあるよなー」とリョータが褒めている。今回の合宿で、それぞれ得るものがあったらしかった。「君たち、先に着替えてくれば? フィードバックはあとでもできるだろ」 アカネの言葉に、リョータとテンが二、三度まばたきする。「僕はもう少し確認したいものがあるから、まだかかるんだ」「まじ? 喉渇いたから、先に更衣室いくか?」「そうですね、それなら……」「シオンにも同じように連絡入れておいてくれ」「しゃーねーな。貸しイチだぞ」「細かいな」「うるせー!」「では僕も、お言葉に甘えて」 失礼します、とお辞儀をしながら退室するのを見送ってから、アカネの手が、タイセイへと伸びる。「わっ!」 あまりに自然で、あまりに唐突であったから、タイセイは振り向いたアカネへの初動が遅れた。アカネの後ろで束ねられた髪が揺れるのを見た時には、既に間合いは詰められていた。「あ、アカネ」「話してる間、ずっと僕を気にしてただろ」タイセイの視線が行ったり来たりするのを、どう我慢していたのか、アカネは説明しきれない。「何を考えてたんだい?」「えっ、と」「タイセイ」「んっ、ちょ、ちょっと……」 頬に唇を寄せると、あの出来事がずっと忘れられないといった風に、タイセイの身体が波打つ。「え、と」 答えなんて最初から分かっていた。 一転して惑う視線に気分を良くしながら、アカネは待っている。「……あの、……昨日の、こと」 その言葉だけで十分だった。「うん、ありがとう」とこぼす口元は、傍目からも分かりやすく、上機嫌に弧を描いている。 君のなかに、僕がいる。 僕だけの『大成タイセイ』と、君だけが知る僕がいて、それがもっと溢れていけばいい。そしたらいつか、僕らはお互いを、すっかり塗り替えてしまうんだろう。 まるで、細胞が全部生まれ変わるみたいに――その未来が、アカネは待ち遠しい。 ようやくこちらを見たタイセイの顔は、出し抜かれて悔しいとでも言いたげだ。「アカネって、時々意地悪だよね……」「そんなつもりはないけど。ただ、知りたくてね。今も君が、ドキドキしてるのか」「訊かなくても、分かってるんでしょ」 む、と唇を尖らせながらも、どこかこちらを誘うような瞳がアカネを捕らえる。視線が交わる瞬間に走る、皮膚の裏側が痺れる感覚が、アカネは存外気に入っている。(了) 2024/07/29(Mon)
地に突っ伏す敵アバターが増えれば増えるほど、階段を一段飛ばしで駆け上がるような勢いで、アカネは気分が上昇していくのを感じる。燃料となるのは達成感だけではなく、訓練終了が近いことへと嬉しさも加わっていた。しかしそこに、タイセイに『見られている』ことが一因としてあるのは、アカネ自身、当然過ぎて気づいていない。
一発、二発、三発。連続で撃ち出された銃弾がアバターに命中すると、アカネの搭乗する機体にその場で飛び上がらんばかりの音声が響く。
「すごいね、アカネ! E6の稼働率、前の数値よりずっと良いよ!」
「これくらい普通だよ」
「ううん、すごい! 高輪先生から教えてもらったこと、全部実践できてるってことでしょ。普通じゃできないことだよ!」
手放しで褒められることが、ここしばらくなかったせいだろうか。こんなにも自分は褒められ慣れていなかったか? E6に接続されたタイセイの、まるで自分事のように喜ぶ映像を、アカネは気恥ずかしくて直視できなかった。
「まあ、上手くこなせたほうかな」
嫌味に聞こえてもおかしくない言葉でさえ、タイセイは額面どおり受け取り、また喜んだ。
個人シミュレーションを終えると、モニタールームでタイセイが待っていた。パイロットスーツを着こなして、『普段どおり』にパネルを操作する。すぐに画面が切り替わり、壁のモニターにはいくつかのグラフが映し出された。
「お疲れ、アカネ。訓練初日のスコアと比較すると、三割くらいアップしてるみたい。一昨日からは、ここは上昇していて、こっちはばらつきが減少してる」
「そうか……そこそこだな」
「そんなことないよ! やっぱり、僕のアカネはすごいなあって思って、」
直後、タイセイが「あっ」と口を覆った。アカネは聞き逃さない。「え?」「いや」タイセイの言葉を頭の中で復唱し、はた、と気づく。
「『僕の』……?」
「あ、え、と」
「ふうん、そうか。悪くないね」
「ちが、あの」
「なんだ、違うのか」
「アカネっ……!」
アカネが一歩距離を詰めれば、タイセイが一歩下がる。しかし、広いわけでもない室内の、ましてやモニター前であれば、互いの距離がゼロになるのはすぐだった。
「……あの、アカネ、近いよ」
「僕は『君の』なんだから、これくらいの距離で普通だよ」
所持品は、肌身離さず持っておくものだろ? 念押しのように告げるアカネに、弱ったタイセイは何も言えない。
アカネの早朝トレーニングは毎朝五時にスタートを切る。ストレッチ、ランニング、クールダウンまでを毎日することで、日常のリズムを保っている。合宿中も変わることなく、特別なことがない限り欠かすことのない、いわゆるルーチンワーク。
だから、アカネがアラームを切り忘れていたことに気付いたのは、それが鳴り響いてからだった。
ばねのように身を起こす。ばっ、と急いで枕元のスマートフォンを操作して音を止め、スヌーズ機能をオフに。画面上のボタンをタップされると、電子音は水をかけられたロウソクのごとく瞬時に消えた。画面には浮かび上がる設定どおりの時刻は、確かにアカネにとって起床する時間ではあったが、今日は『特別』な朝だった。
冷や汗がひくと同時に、はーっ、と安堵の息が漏れる――タイセイが起きなくて良かった。
ベッドの上に座り直すと、きしり、どこからか音がした。はっ、とアカネの目が、隣で眠る少年へと移る。こちらへ背を向けたまま肩が上下して、そこから生まれる小さな呼吸は、内緒話のように耳へと届く。
少し明るい室内は、昨夜から点けっぱなしのままとなっているベッドサイドの照明のせいだが、部屋を見渡せばカーテンの縁は既にうっすらと白んでいた。向こう側に、朝の気配を感じる。
もう、そんな時間か。
光を目にして、アカネは自分が簡単な着衣のままであることを思い出した。徐々にはっきりする意識のなかで、ぽつりぽつり、水の中から泡が浮かび上がるみたいに、深夜のことを思い出す。
最低限、身体を拭き取って、ふたりして眠りに落ちたのだ。Tシャツと下着だけで布団にくるまる場所は、決して広くはなかったけれども、そのほうが彼らにはちょうど良かった。肌を寄せ合い、シーツの上だけが自分たちの世界であるかのように、丸くなる。何度も好きだと言い合ったことは印象深い。その響きに押されて、意識がほどけて、自分のかたちがおぼろげになる感覚は、消えないインクで脳内に直接書き込まれたみたいに残っている。
忘れられない、ずっと、これからも。少なくともアカネはそう確信している。
恥ずかしかった。苦しく、でも嬉しかった。気持ち良くて、極上の、二度と味わえない時間。
まだ夢のような、すべてが真新しい記憶に、アカネの腹の奥から何かが吹き出しそうになって、思わず膝を抱える。
再び、タイセイを見下ろす。眠るその背へと、シャツ越しに触れた。とく、とく、小さな音が振動となって、アカネの手のひらに伝わる。温かかった。
けれども、鼓動が少しずつ速くなっているような気がして、アカネに疑問が浮かぶ。つう、と背骨を辿れば、手のひらはすぐに腰へと到着した。そこを撫でて、口を開く。
「――タイセイ、起きてるんだろ」
上下していた身体が、一目で不自然と分かるほどに停止した。
やっぱり。
覗き込むよう馬乗りになれば、ぎしっ、とベッドが揺れる。その下で、タイセイは腕で顔を隠して、それでも小声で「おはよう」と呟いた。あ、第一声がそれなんだ。
「おはよう。その様子じゃ、僕を見てはくれないのかな」
「恥ずかしくて……見られないよ……」
「……それは僕もだけどね。でも、君のことを最初に見たい」
今、どんな顔で、どんなことを考えているのか。
そっと腕を退けると、おぼつかない視線のまま、タイセイが見上げてくる。起き抜けすぐの瞳に映るのが自分であることが、こんなに嬉しいものなのか、とアカネの心臓がうるさく鳴る。
「タイセイ」
名前を呼ぶと、ところどころ跳ねた髪で、顔が上を向く。
「僕を受け入れてくれて、ありがとう」
「……僕も、ありがとう、アカネ」
頷き合って、頬が緩む。どちらからともなく、唇を重ねる。
その後、備え付けられたシャワーで身体を流し合う時、昨晩の名残とともに思い出してしまって、遅刻しかけたことは彼らだけが知ることである。
「あ、先輩。お疲れ様です。もう終わってたんですね」
開いた扉の奥から、見知った顔が現れた。あとはシオンが戻れば、この強化合宿最後の訓練も終わりだ。
「お疲れ。テンの調子はどうだ? リョータ」
「あ、ふ、ふたりとも、お疲れ様」
アカネとタイセイがともに迎え入れると、テンに続き、リョータが後頭部で手を組みながら苦笑する。
「僕のスコアは、それほど変わりありません。すみません……」
「いや、それは違うっつうか、高得点なのがずっと続いてるっつうかさ……」
「出し惜しみはしないようにしてるので」
へへ、と頬をかくテンを、「でも戦い方の幅が広がった感はあるよなー」とリョータが褒めている。今回の合宿で、それぞれ得るものがあったらしかった。
「君たち、先に着替えてくれば? フィードバックはあとでもできるだろ」
アカネの言葉に、リョータとテンが二、三度まばたきする。
「僕はもう少し確認したいものがあるから、まだかかるんだ」
「まじ? 喉渇いたから、先に更衣室いくか?」
「そうですね、それなら……」
「シオンにも同じように連絡入れておいてくれ」
「しゃーねーな。貸しイチだぞ」
「細かいな」
「うるせー!」
「では僕も、お言葉に甘えて」
失礼します、とお辞儀をしながら退室するのを見送ってから、アカネの手が、タイセイへと伸びる。
「わっ!」
あまりに自然で、あまりに唐突であったから、タイセイは振り向いたアカネへの初動が遅れた。アカネの後ろで束ねられた髪が揺れるのを見た時には、既に間合いは詰められていた。
「あ、アカネ」
「話してる間、ずっと僕を気にしてただろ」タイセイの視線が行ったり来たりするのを、どう我慢していたのか、アカネは説明しきれない。「何を考えてたんだい?」
「えっ、と」
「タイセイ」
「んっ、ちょ、ちょっと……」
頬に唇を寄せると、あの出来事がずっと忘れられないといった風に、タイセイの身体が波打つ。
「え、と」
答えなんて最初から分かっていた。
一転して惑う視線に気分を良くしながら、アカネは待っている。
「……あの、……昨日の、こと」
その言葉だけで十分だった。「うん、ありがとう」とこぼす口元は、傍目からも分かりやすく、上機嫌に弧を描いている。
君のなかに、僕がいる。
僕だけの『大成タイセイ』と、君だけが知る僕がいて、それがもっと溢れていけばいい。そしたらいつか、僕らはお互いを、すっかり塗り替えてしまうんだろう。
まるで、細胞が全部生まれ変わるみたいに――その未来が、アカネは待ち遠しい。
ようやくこちらを見たタイセイの顔は、出し抜かれて悔しいとでも言いたげだ。
「アカネって、時々意地悪だよね……」
「そんなつもりはないけど。ただ、知りたくてね。今も君が、ドキドキしてるのか」
「訊かなくても、分かってるんでしょ」
む、と唇を尖らせながらも、どこかこちらを誘うような瞳がアカネを捕らえる。視線が交わる瞬間に走る、皮膚の裏側が痺れる感覚が、アカネは存外気に入っている。
(了)