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@kai_mutterの二次創作置き場

オタクが常にジャンルを反復横跳びしてる

スプートニク
・気持ち凌→遊
#凌遊
 
 遠い空の向こうにはこの世とは思えぬような永遠の闇が広がっているんだと知ったのは餓鬼の頃だった。此処から見上げる綺麗さとは裏腹に、絶対的な孤独のみを抱いて漂うしかない海が待ち構えている。惑星のいのちの輝きを目にしながら、それらの死を食べて侵略を続ける世界の腕の中に俺は居るんだ。
 ちかちかと小さな明かりが点滅する空を見上げながら凌牙はそう思った。そんなことを考えているなどとは知らず、遊馬は隣で「すげー」だの「流れ星見えた」だのがやがやと喧しく騒いでいる。
 「流れ星なんか見えるかよ」
 「いや俺には見える」
 「ばーか」
 笑ってやると遊馬はむっとした表情で「馬鹿っつった方が馬鹿なんだ」と悔しげに言ってから再び空を見上げた。夏の夜の蒸し暑さは丘の上ではほんの僅かだが落ち着いているようである。それでも首筋にじわりと滲んだ汗は隠しようがないが、暑い、と口に出すのはなんとなく凌牙のプライドが許さなかった。
 街の明かりが眼下の遠くに見える。流星群が見えるんだと耳にして、二人して町外れの丘までやってくるなんて、ましてや連れて来たのが自分だなんて、暑さで頭が沸騰しているんだきっと。考えながら、凌牙は座り込んだ草むらの周囲の雑草をぶちぶちと引っこ抜いた。目線だけは星空から外さずに。
 期待なんて、していない、俺は。
 体温の落ち着かない身体に小さく苛立ちながら、凌牙はこのまま何も起こらずに夜が明けるまで此処に居ても良いかもしれないとさえ思えてきた。流星群が見えなくたって此処は少し涼しいし、景色は別に悪くねぇ。途中で切り上げることは、何より楽しげな遊馬に申し訳ない気がした。それが自分に対する言い訳だということも自身で薄々感じているのだが。
 ぐだぐだと考えている凌牙の耳を打ち破るように、突然遊馬の声が上がる。
 「あっ流れ星!!」
 うるせぇ。
 「飽きねぇな……あ、」
 「ほら!」
 流星群の情報は嘘ではなかったようだ。黒檀を切り裂くような光の筋が、確かに見えた。
 遊馬は遊馬で願い事を唱えているらしい、ぶつぶつと呪文を呟くように唇を動かしながら両手を合わせていた。これではまるで神頼みである。だが目だけはしっかりと見開いていて、星の行方を逃さぬように闇を双眸に吸い込んでいた。
 ちらりちらりと惑わすように走る星。その太刀筋を眺めながら、凌牙の脳裏に一匹の犬の話が思い出された。子供の頃、宇宙の正体を暴いたと同時に知った旅行者の話。勇敢な飛行士の結末。輝きの中に、お前は居るのか? 俺みたいに大きな孤独の中で足掻いて、囚われて、星になったスプートニク。酸素も人の温もりも消えた世界で、光になったお前。
 ぶわっと通り抜けた一陣の風が、丘の木々をざわざわと揺らした。それは犬の遠吠えのように。服の裾をばたばたとはためかせて、風は空へと舞い上がる。その先には星の軌跡が、二人の頭上を跨いでいた。
 宇宙の孤独から逃げようと必死でもがいた美しい命が、星と一緒に降ってくる。畳む
詐欺師の館
・Mr.ハートランドとカイト。
・VJ版の捏造。
・きっとギャグ。
#カイト

 この糞爺! と、声を大にして叫んでやりたかったが、その瞬間脳裏に命よりも大事な弟の顔が浮かんで、カイトはぐっと苦々しい怒りを飲み込んだ。この野郎、狸、エセインテリめが。心中であらゆる罵倒を浴びせながら、ハートランドシティの中枢部、その一室でカイトは足元で自分を見上げている鉄の塊に目を遣った。
「カイト様、カイト様」
 大きい虫眼鏡みたいなレンズ。その奥で何を考えているのか知らないが、存在自体にハートランドの妙な意図を感じてカイトの眉がひそめられた。オービタルセブン、とハートランドは呼んだ。貴方にも助手が必要でしょうからね。
 俺を監視する為だろうが。助手とか言いやがって、胸糞悪い。
 舌打ちして、カイトのブーツの踵が機械の胴体を蹴り上げる。「ワアア」と悲しいのかよく分からない人工的な声を上げオービタルセブンは壁際まで吹っ飛んだ。ごろごろごろごろごろがしゃんごとん。「カイト様、ヒドイ」どうやらこの程度では壊れないようだ。カイトは鼻で笑った。
「おやいけませんね。乱暴はどの時代でも崩壊を招くのですよ」
 その時、部屋の入口から聞きたくなかった声がして、カイトの目に苛立ちの炎を宿らせる。
「Mr.ハートランド……すみません、言うことを聞かなかったので、つい」
「君を守る為にもオービタルセブンは必要なのですよ。君を守ることはつまり、ハルトを守ることに直結している……解りますね?」
「……はい」
「それは何より」
 かつかつと、革靴が規則的な足音を刻む。
 カイトはこの部屋が嫌いだった。自室として与えたくせに、造りは徹底的に無駄を排除し、そこに居る人間を管理していますと言わんばかりの空虚さ。冷たい壁は閉じ込める為の氷の蓋。そう思えてならない。
「カイト」
 ハートランドが目の前に立つ。足元に落とされていたカイトの視線が、ハートランドの指先によってぐんと上げられる。
「君が頼るべき聖典は私だということを忘れないよう」
「……はい」
 自分の顎に触れるハートランドの手を振り払えない。その悔しさで涙が滲みそうになり、カイトは奥歯をぎりりと噛み締めた。それを気にする風もなく、まるで人形を可愛がるかのようにハートランドはカイトの頬を一撫でした。感触にカイトの背にぞわりと悪寒がはしる。一挙一動が気色悪いんだよ触れるな離れろ!
「カイト。ハルトの為にも、君は殉教者であるべきなのです」
 ハルト。ハルト。ハートランドが口にする弟の名は恐ろしいほどの効力を発揮する。カイトを縛り、従順にならざるをえなくさせる。それを最も理解しているのがカイト自身だった。宝物の名前を出されては、カイトは笑みを浮かべながら自分を見下ろす男にこう答えるしかないのだ。
「は、い」
 糞野郎絶対シメる。
 オービタルセブンは壁際で転がったままである。畳む
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