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@kai_mutterの二次創作置き場

オタクが常にジャンルを反復横跳びしてる

走馬灯なんて見なかったけど
・ブルーノの記憶の世界

 なんだか昔のことを思い出すことが多いのは、それだけ自分が年老いた証拠なのかも知れない。ただ嬉しいのは、思い出す内容が全部、一から十、五十、百個と、最初から最後まで楽しいことばかりだということだ。それらを楽しい思い出だと感じるのは、そのうちにかなしいことやくるしいことが隠れている、ということでもある。
 ボク等は色んなものを比較して生きている。自分と他人、綺麗なものと汚いもの、正義と悪。同じように、ボクは記憶の中で分別をしている。君と手を繋いだことは嬉しかったから楽しい記憶へ、君と言い争ったことは思い出すと胸が苦しくなるから悲しい記憶へ。比較ということは別に悪いことじゃないと思う。だって片方があるからもう片方は失われずに済むんでしょう? 君達とボク達は、世界の尺度の中で比べられて存在していた。君とゾーンは互いに互いを比べていた(但しゾーンの方がその時間が長かったという差はある)。ボクも昔の自分と今の自分を比べている。ジャックはジャックで君と自分を比べているし、皆がそうして生きている。故に感情が生まれる。ボク等は他人と一緒に生きていなきゃ、多分生きているという感覚を得ることさえ出来ないだろう。そう思うから、ボクはどんな形であっても、遊星と会えて嬉しかったと思うことが出来る。ボクは生きていて、君達と過ごすことが出来ているという実感が、ボクの存在を許していたからだ。
 いつかまた、君と再び話せる時が来るだろうか? ボクはその時にまず何て口にするだろうか。想像するだけでこんなにも嬉しく思えるのだから、ほらやっぱり、ボク達が一緒に居たことは素敵なことだったんだ。畳む