から

@kai_mutterの二次創作置き場

オタクが常にジャンルを反復横跳びしてる

ホールドワールド
・ゾーンとアンチノミーが喋ってるだけ。
・未来捏造。
#ゾーン #アンチノミー

「夕陽の色は血の色と同じですね」
 何だかおぞましい言葉だとボクは思った。憧れの人と同じ(ように見える)横顔で、ゾーンはそんなことを言った。彼がいつも着ている服は彼が言う色を何倍にも薄めたような色を滲ませている。
「……ボクは、結構好きだけど」
「おや、貴方は血液が好きなのですか。変わっていますね」
「いやそうじゃなくて、夕焼けが」
「成る程」
 博士らしい口調が出る時に、あぁこの人はボクの意識の中にある遠い存在とは違うんだなとしみじみ感じる。とは言ってもボクはその存在に触れたことも無ければ実際目にしたこともないのであくまで想像の域を出ないのだけれど、それでも完全に異なる何かがゾーンの中にはあるのだ。直接口には出さないが。
 今日も一日中研究に没頭していたゾーンは眩しげに片目を細めた。その下にできた隈を見ると少し心苦しい。でもきっとボクも同じような顔をしているのだろう。
 ボク等は毎日をまるで無限に繰り返される映画を見ているような感覚で過ごしている。それでも確かに時間は過ぎて、今日も真っ赤に塗られた、絵画の中から出てきたみたいに丸い夕陽がボク等を包み込んだ。目の奥まで貫くような光を抱き締めるとじんじんと頭が沸く。その刺激は生きているのだと実感させる薬だった。世界に取り残されたボク等が麻痺しないようにするための必要不可欠な。いくら周りが機械まみれになっても、人間は決して太陽から逃れられないのだと言い聞かされている気持ちになる。
「アンチノミー、貴方はこの景色に希望を見出せますか」
 直したばかりのうつくしい硝子窓を指差しながらゾーンは呟いた。その向こうには瓦礫の山が斜陽を背に受けて影絵の如く黒く浮かび上がっている。ボク等は生きている、この崩壊した世界の中で、たった二人で。希望と呼ぶに相応しいかは分からない。それでもボクの心は確かに照らされていた。ボクとゾーンの中を廻るいのちの雫と同じ色に染まっていたのだ。
「ねえ、本当はその答えが欲しくないんでしょう」
「何故ですか」
「だってゾーン、貴方は笑っているから」
 顔の半分を機械に覆われたゾーン。彼の口角が上がっているわけではなかった。けれどもボクにはゾーンが微笑んでいるように思えたのだ。今日もこうして、ボク等が世界におやすみと告げられることについて。結論はもう出ている。
 真似る様にボクも同じく外へ人差し指を向けた。半分欠けた光の泉が、藍色と紫色の混ぜ合わさった空に朱色を浮かべている。
「ほらあそこ、地平線に寝そべっているのは今日も絶望じゃなかったね。ただの太陽だ」
「いつも思いますが、貴方は少し変わっていますね」
「ゾーン程ではないと思うよ」
 言い返すと眉を顰めて、それから今度こそ彼は緩く笑った。やわらかくあたたかな光を浴びながら、ボク等の全てが今日も過ぎ行く。畳む
召し上がれ
・チームユニコーンがスペインの町にあるという美食倶楽部(ソシオ)をやっているというパラレル。
・酒屋はクロウさん。
#チームユニコーン #現代パラレル

 白身魚の焼ける匂いが何十年も使われてきたキッチンに漂う。ガーリックの香りが魚にしっかりと染み込んだら塩胡椒を適量、それから白ワインを加えて程好く蒸し焼きに。スムーズな手付きは数年来の付き合いでアンドレには見慣れたものだ。サラダ用のハーブを平たい皿に盛り付けている彼の目はフライパンに蓋をするジャンに注がれていた。それでも手元を狂わせないのはアンドレもこの美食倶楽部にすっかり馴染んでいるからである。
「出来上がり」
「ひゅう! すっげー美味そうじゃん」
「当たり前だろう。仕上げにパセリの刻んだやつ、ほらさっき冷蔵庫に入れておいた……あれ飾っといてくれ」
「オッケー」
 白皿の舞台の上に飾られた白身魚のソテーが三つ。その上にオリーブオイルとレモン汁へ微塵切りにした玉葱と塩漬けオリーブを合わせたソースを垂らし、瑞々しい緑をはらりと散らせば本日のメインディッシュの完成だ。所々細かい傷の付いた、しかし美しい木目を保つ大きな机にジャンの手が皿を並べていく。優に十人は座れるその机の上には既にワイングラスとバゲット、それにいんげん豆のスープが準備されており、あとはアンドレがサラダを持ってくれば全て終了だ。ジャンの口元から小さな息が漏れた。料理が上手く出来上がった時は最高に気持ちが良い、それを食した時の感動まで予測できるから。少し気の早い感嘆の吐息だった。手の甲にソースがついているのを見つけて、それを黒いエプロンで拭ってからジャンははたと辺りを見回した。「ブレオは?」誇り高き美食倶楽部の仲間が一人足りない。
「ブレオならワインを受け取りに庭に出てったけど?」
 視線だけを上げてアンドレが答えた。
「あぁそうか、今日は注文しておいたんだったな」
「さっきバイクの音がしてたからもう戻ってくるだろ」
 馴染みの酒屋が予約しておいたワインを配達してくれるのは慣れ親しんだ光景であった。間も無く扉の鐘がちりんちりんと鳴り渡り、金髪を少し乱した青年が若草色のボトルを手に現れた。
「お待たせ、ワイン到着!」
「グラーシャス!」
「よし、では始めようじゃないか」
 各々はエプロンを外し、壁に取り付けられたフックへ掛けてから席へ着いた。それらが三つとも黒色である理由が仲間の繋がりを意識しているからだとは口に出さなくとも見て取れる。
 ジャンの手に握られた栓抜きが、ぎゅ、ぎゅ、とコルクを抜いていく。その様子をじいっと見詰めるアンドレとブレオの視線をまぁまぁと宥めている間に栓は抜け、ぽんっと軽快な音が響くと同時に芳醇なワインの香りが広がった。すんすんと鼻を鳴らすブレオにジャンは一つ苦笑を零した。
「慌てるな、まだ始まっていないぞ」
「料理は食べる前からも勝負だろ?」
 別に勝負をしている訳ではないのだがな。そう思いながら、ジャンは深い深い紫色を三人分のグラスへ注いだ。果実酒はまるで誘うように透明な光を含み、味わわれるのを待ち侘びている。
 始めにアンドレ、次にブレオ、そして最後にジャンがグラスを手にした。目線の高さまでグラスを持ち上げたジャンの楽しげな声が開始を告げる。この空間さえも美味しく感じる時間の始まりだ。
「それでは、本日も我等がソシオに乾杯」
「乾杯!」
「かんぱーい!」畳む
ブルーノとアキが喋ってるだけ
・ブルーノ→遊星←アキみたいな感じ。
・書いてる人がブル遊の気持ちで書いているのでブル遊で……。
#ブル遊

「あなたもいつかいなくなってしまうのかしら」
 アキさんの声は高くも低くもなかった。
 オイルまみれの手袋を外して、ボクは彼女が腰かけているソファに向き合った。彼女の表情が泣きそうなのは、夕日が眩しいからだろうか。
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」
「いつかあなたが遊星の前から立ち去るなら、彼はきっと哀しむわ」
「でも、未来のことなんて誰も分からないよ」
「それでも私には遊星のことが分かるの」
 いいえ、分かりたいの。アキさんの声は子を想う母に似ている気がした。視線を床に落として彼女は唇を一文字に結んだ。そこから一つも不安が零れないようにしているみたいに。
 遊星の、ボクら仲間に向ける信頼がどれ程大きいものか分かっているつもりだ。ボクはそれに背くつもりはない。彼らに言えない秘密があったとしてもボクはボクの信念を裏切りたくないのだ。きっとアキさんは、遊星の心を脅かすまいとして不安の芽を刈ろうとしているのだろう。
「アキさんが心配するのも無理ないよ。遊星は強くて脆いひとだから」
「脆くなんて、ないわ」
「アキさんも分かってるでしょう、彼が何を支えにして生きているのか」
 足元に転がったままだったスパナを拾う。片付けておかなければ遊星たちが帰ってきた時に小言を言われるに違いない。特にクロウにはきつく注意されそうだもの。作業ボックスから布きれを取り出して工具を拭く。油汚れを綺麗に、はじめからそこになかったかのように拭い去る。アキさんはぼんやりとその様子を眺めていた。きっと頭の中で遊星を重ねて見ているだろう。それ程彼女の視線はボクに向けられるようなものではなかったから。
「人を支えに生きていくことは、とても簡単で、とてもつらいことだよ」
 ぎゅっ、ぎゅっ、と手元の布が軋んだ。エンジンの残り滓みたいな汚れが、悲鳴をあげて消えてゆく。
「でも人間は他人と一緒に生きてゆくものなのよ」
「じゃあこういうのはどうだい? ボクらはボクら自身のコピーを作っておくのさ。誰が居なくなっても大丈夫なように、プログラム上でね。つまり人工知能だよ。形の再現はホログラム画像で実行すればいい」
「どうしてホログラムなの?」
「形あるものは崩れていくのが理だからだよ」
 手の中のスパナを観察する。細かい傷が付いているのが光に反射してよく分かった。これは経年劣化だ。この物質が本当に本物でこの世に存在している証だ。ボクは少し羨ましかった。劣化すべき本当のボクはもう居ないのだから。ボクはもしかしたらこの工具以下の価値なのかもしれないのだ。だから崩れないように、風化しないように、姿かたちをなくして仮想空間に身を置こうと提案したのである。
「ねぇどうかなアキさん。これなら寂しくないよ。みんないつまでも一緒に居られるよ」
 アキさんは目をぱちくりと瞬かせて、それから伏せ目がちになって、笑いながら答えた。
「ねぇ、だめよブルーノ、それじゃだめなの」
「どうして?」
「それは生きているとは言わないわ。生きることは、変わることなのよ」
 変わることなのか。
 えぇ。
 彼女はそのまま言葉を発しなかった。ソファに背を預け、瞳を閉じてしまった。
 再び片付けの続きをしようと思う。さっきの案、アキさんには賛成してもらえなかったな。ボクはこの姿のまま変わらないけれど、元のボクから変わっているから、それは生き続けていることになるのかな。畳む
無駄遣いしてド叱られる京介
・親子パラレルの小話。
・京介くんはダークシグナーの影響を受けているようです。
#京遊 #現代パラレル

【設定】
京介くん(18)→育ち盛りの高校生
遊星さん(28)→京介くんの義父



「おい京介!!」
「あぁ? んだよ今忙しいって、」
「これを見ろ!!」
 天高く馬肥ゆる秋。つまり、美味しいものが山のように出てくる季節でもある。食い気の多い京介にとってはまさに天国。しかしそれは家計を仕切る遊星にとっては四苦八苦、常に頭を捻るか首を捻るかである。
 帰宅後制服から着替えずに即ゲームに齧り付いていた京介は、テレビから視線を動かさずに返事だけを返した。その背後ではスーツの上着だけを脱いだ遊星が肩を震わせている。画面に釘付けの京介からボタンを連打されていたコントローラーを取り上げる。代わりに遊星の手から持たされたのは、A4サイズの一枚の紙だった。
「あっおいこら!!」
「これをよく見ろ!」
「なんだこれ」
「よ、く、見、ろ!!」
「んー……先月の出費一覧表……?」
 紙の一番上には太字でそうでかでかと明記されており、上から光熱費、食費など、一覧表で記載されている。その表をずっと下へ追っていくと、最後に赤字で『-35,074』と書かれていた。つまり文字通り赤字である。
「……で?」
「で? じゃない!! 先月のお前の食いっぷりは何だ! 肉、魚、その他諸々高級食材ばかり買いこんできていただろう!!」
「スーパー行くとちゃんと書いてあるぜ? 『オススメ品』って。だから買ってやってんだよぉ」
 売上貢献してんだからありがたく思えよなぁー。そうのたまった京介に遊星の怒りゲージが着々と増加していく。こいつ……! ただでさえ京介は出費の多い生活(買い物兼買い食いをして帰宅後はゲーム)をしているのだ。社会勉強を兼ねて買い物担当を任せたのがいけなかったのか。俺の教育は間違っていたのか。と、遊星は自分の頭を抱えた。
「いいじゃねぇか。遊星も美味いもの食いたいだろぉ?」
「健康的な食事を心掛けているんだ!」
「あーもうすぐ会社の健康診断だもんなぁー三十路手前は大変だぁははははは」
「くっ……黙れ!!」
「へーへーもーしわけございませんでしたぁー」
「こ、の……!」
 この瞬間、遊星の中で堪忍袋の緒が切れた音がした。ぶちん。ぽちっ。遊星の人差し指が素早くゲーム機の電源を切った。
「ああああああああああ!! セーブしてねぇんだぞこらぁ!! おい遊せ、」
「黙れこの馬鹿息子。今晩は飯抜きだからな」
「はぁ!?」
「ゴミ箱見たぞ。またお月見ハンバーガーセット買っただろ。なら飯はいらないな」
「ちょ、おい、」
「じゃあ俺はもう一度会社に戻って仕事でもしてくる。お前のために深夜残業して金を稼いでこなくてはな」
「おい待てって!」
 すたすたすたすた。上着と鞄を抱えて玄関へ向かう遊星に、京介は慌てて立ち上がり追いかける。勢いで彼の淡いスカイブルーの髪が跳ねた。これはやばいマジギレモード!
「悪かったって!!」
 ぴたり。後ろから叫ばれた言葉に遊星の足が止まる。焦りを目一杯含んだ謝罪の声。肩越しにちらりと振り返り、遊星の目が京介の様子を窺う。何がだ? 視線がそう聞いていた。
「う……」
 こういう時の遊星が苦手だ。京介がもう少し幼かった頃から、遊星は教育的指導を行う際は大抵今のような目をして叱ってきた。この瞬間も遊星は京介の精神へと無言の圧力をかけてくる。それは京介の記憶に刷り込まれた過去の同じ経験を呼び起こす。こういう時に自分はどう対処してきたか? どうすれば義父が許してくれるか? その結果は。
「……む、無駄遣いは、あまりしねぇように、する。相談、する。悪、かった」
「よし」
 結局しどろもどろになりながら自分の非を認め、遊星に詫びることになるのだ。
 よしよし今日も教育がうまくいった。悔しがりながら項垂れ髪を掻きむしる京介の姿に、遊星は一人心中で満足するのであった。畳む
ジェリービーンズ、カラー、ライフ。
・京遊義親子パラレル。
・2010年発行『ジェリービーンズ、カラー、ライフ。』再録
#京遊 #現代パラレル

 周りの人間が皆して俺の親父が若い若いと連呼するものだから、今の背丈の半分程しかなかった頃から、俺にとっての親父は唯の保護者じゃなく、世間一般で言う親父の型から外れていた気がする。まぁ事実そうだし。
 そううんうんと首を縦に振り頷く京介は、リビングのソファで寝転がるその親父を見下ろした。土曜日の朝、現在九時過ぎ。頭をがしがし掻きむしり、常日頃吊り上がっているが寝起きの今は目尻の下がった両目が父を観察する。二人掛けのソファは嘗て彼が家に迎え入れられる日に父が記念にと買い込んだものだ。昔はそのつやつやとした身体を存分に見せ付けてくれたものだが、今ではまるで老獪な男のように渋くなめされた皮を纏っていた。そこにぐうと沈み込んだ人間が父だ。
 父は仰向けで眠っている。その傍らには外された水色のストライプのネクタイが床に放置されていた。襟元を緩めただけのシャツをパジャマ代わりにして父は寝ていた。こうしてリビングで眠りこけるのは珍しかった。父は自分の生活リズムを完成させていて、滅多なことがない限りはそこから外れることはないから。机の上にほったらかしのパソコンと資料らしき紙から推測するに、恐らく仕事の準備でもしているうちに仮眠でもしようと思い、結局そのまま朝まで寝てしまったのだろう。背広をハンガーに掛けているだけ褒めてやるべきだろうか。そこまで考えて京介の腹が鳴った。
 兎にも角にも腹が減っているのだった。京介は右手でスウェットの上から凹んだ腹を撫でた。空腹感が増した気がする。
「おいおやじ」
 ちゅんちゅんと雀の会話が聞こえてくる薄暗い部屋には返事は響かなかった。カーテンの向こうはさぞかし輝いた空が広がっているのだろう。初秋の今日は、台風の影響で時折雨が降る程度で天候は極めて良好だ。あの茹だるような真夏日は隠れている。父は起きない。
 キッチンへと振り返る。京介はあまり料理が得意ではない。それは彼の父が家事全般を全てこなしてしまうが故に、子供のその能力を育まなかったのである。手間も掛かるし何よりめんどくせぇ。京介の料理に対する基本的な感想がこのようなものの所為もあるのだが。
 しかし今まさにその時が来ていた。料理すべき時だ。年に片手で数えるほどあるかないかのこの状況に、京介は至極面倒そうに大きな欠伸を一つ掻いた。それから只管睡眠し続ける父を放置して、京介は遂にリビングの奥にあるキッチンへと向かう。
 数分後。焦げ掛けのトーストの匂いに飛び起きた父は、寝起きに早速自分の行動を後悔することになる。



*あさごはん

「済まない、本格的に寝てしまった」
「……別に」
 寝起きの父の髪はいつもより二割増しで荒れている。あちこちに跳ね上がった髪を鬱陶しそうに指で除ける父を見上げた。
 結局完全に焦げてしまったトーストにはスペアは存在しなかった。その黒い物体が鎮座した食卓に、京介は不貞腐れた顔で座った。少し目を離しただけだ!舌打ちと共に心の中で吐き捨てる。
「なぁ、ファストフードでも食いに行かないか」
「節約すんじゃねぇのかよ。こないだ俺に食い過ぎだって文句言ってきた癖に」
「たまには良いだろう。それに今日は俺も作るのが面倒な気分なんだ」
 にっと笑った父が何を考えているのか分かっている。言い方がまどろっこしいのは俺のことを気にしてるからだろ。良い意味での気遣い。京介にとってはもう慣れてしまったもの。けれども遊星のそんな言葉の魔法が、京介は嫌いではなかった。それが遊星の愛情表現の一つだと知っているから。
 遊星、と尖らせた口で父の名を呼ぶ。彼は義父のことを親父もしくは名前で呼んでいる。遊星は皺くちゃになったYシャツを脱いでいるところだった。この間二十八歳になったこの義父の体躯は自分より一回りも小さい。これでメタボリックにならないよう気を付けているというのだから京介にとっては笑えた。そんな身体じゃいつまでたってもメタボにはならねぇよ。
「取り敢えず十分以内でシャワー浴びて来いよな」
 朝のセット終了まで時間あんまねぇんだから。半分拗ねた声でそう言う京介に、遊星は笑みを一つころりと零した。
 脱衣所の扉が閉まってから、京介は自分の部屋へと向かった。父の自室と隣り合わせの部屋が京介の部屋となっている。起きてからそのままのベッドに腰掛け、布団の上に放置してあったスマホを開いた。LEDがちかちかと点滅している。新着メールを知らせる画面をタップし、表示された友人からのメールに京介は間抜けな声を出した。
「……あー」
 内容は『昼イチ集合』。今日カラオケ行くんだったな。約束していたことを思い出した京介は、けれどもメールの返信画面に正反対の文章を打ち込む。
 今日パス、用あったわ。
 たしたしたし。文字を押し込んで、送信。本当は用事なんてないのだが、なんとなく、本当になんとなく断らなければならない予感がしたのだ。昼から出掛けると遊星に言ったら、きっとしょげてしまう気がして。
「ファザコンくせ……」
 げ、と舌を出す。しょげるだなんて確信はない。が、平日はなかなか多忙な父のことだから、自分が構ってやれていないだとかいう自責の念を何処かで抱いているかもしれない(あくまで憶測だが)。その不満を発散させてやるために敢えて出掛けないだけだ。そう理由付けて、京介はぐうっと伸びをした。
 壁の向こう側から、再び脱衣所の扉が開く音がする。スマホの時計を確認する。よし、十分以内だな。律儀な父の行動に、京介は満足そうな笑みを浮かべた。



*本屋さん

 子供が父親の仕事ぶりを見て、自分もいつか父のようになりたいと考えるのは素直な気持ちだと思う。しかし京介と遊星には当て嵌まらなかった。遊星の情熱は仕事よりも趣味に対して大いに向けられていたので。
 そもそも京介は遊星がどんな仕事をしているのかそれ程興味はなかったし、遊星も自分が勤めている会社や仕事について話すことはあまりしなかった。今度出張があるだとか、残業で遅くなるだとか、精々その程度である。
 ファストフードの朝飯を済ませてから、二人は開店間もない本屋に立ち寄った。服にポテトの油くささが染み付いている気がして、京介は着ていた黒のTシャツに鼻を近付け嗅いでみた。思ったより匂いはしない。
「お前、朝からよくあんな大量に食えるな」
「親父が食わなさ過ぎなんじゃねぇの」
「誰もがお前のようにセット二つが標準だと思うなよ」
 うぇ、と顔を歪めた遊星を横目に見下ろしながら京介は髪を弄った。彼の髪の毛は何度も脱色を繰り返したせいで白に近くなっている。校則違反も甚だしいのだが、京介にとって高校の生活指導担当の怒声は軽やかに通り過ぎる秋風と同じだった。と言うのも、それ以上の怒声を父から浴びた経験があるからということと、授業を真面目に受けない、或いは警察沙汰にならない限り、その父が容貌等には何の注意もしないからであるが。
 本屋の自動ドアをくぐると、遊星はすぐさま早足で店内を進んでいった。間も無く父の紺色のシャツは点になった。その後ろ姿を見ながら京介ははぁと溜息をつく。相変わらずだな、親父は。
 遊星とは反対に、京介は踵を擦りながらゆったりと歩く。遊星が何処に行ったかはもう分かっていた。数十歩歩いた先に父を発見する。彼はバイク雑誌に見入っていた。それはもう熱い視線で。
 この若い父はバイクに乗るのも弄るのも大好きだ。働く目的が、一に生活費、二に趣味と言う程に。なので京介にとって、父親の働く姿に憧憬も何も抱くことはない。ただ、この若い父が趣味に没頭しているところを傍から眺め、自分もいつか父のように派手なバイクを作り上げてみたいと思っている。但し、カラーリングは遊星の好きな赤ではなく、これから夜闇に染まる空のような紫がかった黒が良い。そう思い描きながら、遊星の左肩を叩いた。
「俺も中型か大型の免許取りてぇ」
「そのうちな」
 口元は緩んでいるが、遊星は目は雑誌の中の特集ページに釘付けだ。
「カブじゃ満足できないんすけど」
「高校卒業するまでは我慢しろ。それに車の免許を取るのが早いんじゃないのか」
「車ねぇ」
 遊星の左腕の上から雑誌を覗き込む。艶めく漆黒の大型バイクが低く傾いてカーブを攻める写真に胸が躍った。
「いや、やっぱバイクだわ。かっけぇし。てか乗りこなす俺が絶対かっけぇし」
「お前は相変わらず一言多いな……」



*お知り合い

 本屋を出た先で出会った人物は、京介の顔を瞬く間に歪ませた。
「うえええええ何っでてめぇに会わなきゃなんねぇんだよ!!」
「いつも息子がお世話になってます」
「こちらこそ」
 おいルドガー!! 吐き捨てるように叫ぶ息子に、遊星は一発肘鉄を食らわす。
「ぅげぇっ」
「ルドガー先生、だろうが」
 鳩尾を押さえる京介は僅かに込み上げた吐き気に俯いている。肩が微妙に震えているのは幻覚ではない。すみません、と遊星が謝罪する。こいつ、まだ口の利き方が未熟なようで。
「いえ、別にお気になさらず」
 ルドガーは頭を垂れようとした遊星の行動を片手を上げて制止した。親子よりも何倍もがっしりとした肉体は体育教師の肩書に相応しい。
「担任としても、彼の運動神経には鼻高々ですよ。おかげでクラスマッチは毎回優勝です。ところで大学はもうお決まりですか?」
「あぁ、いえ、何れは……次回の三者面談までには、目星を付けておきます」
「運動部に入っていないのが残念ですかね。スポーツ推薦が使えないので」
 ふぅむ、と顎に手を置いて、ルドガーは京介を見遣った。そうして彼の大人しさに改めて感嘆する。
 京介は学校では所謂不良のカテゴリーに入っている。教師への言葉遣いは荒々しく、睨み付けるようなぎらぎらとした眼光は相手を畏縮させる。手を出したことはなくとも、掴み合いや口論は日常茶飯事。見た目や態度で誤解を与える人間だった。しかしながら授業はきちんと受けるし、嫌々ながらも課題は滞りなく済ませる。その温度差のために、教師勢から『扱いにくい生徒』と思われていることは周知の事実だった。
 だが義父を目の前にすると、何たることであろうか。両目は拗ねた子供のようになり、いからせている肩はしおたれている。常々このような態度ではないだろうが、それでもルドガーにとっては毎回目を見張る光景であった。
「部活なんて入ったらバイトできねぇじゃん」
「バイトは別にいつでもできるだろう」
 遊星の言葉にもぷいとそっぽを向く。
「それでもめんどくせぇしやだ」
 不遜な口振りは変わらずか。ふふ、と小さく笑って、ルドガーはお辞儀をした。
「それではまた」
 遊星もお辞儀を返し、宜しくお願いしますと答える。本屋の中へと去りゆく教師を見送りながら、遊星は息子を横目で見た。京介はジーンズのポケットからスマホを取り出し、既に視線は画面へと集中している。
「俺が帰ってくるまでに、必ず家に戻っていなくても構わない」
「ちげぇし。自意識過剰ヤローめ」
 たしたしと画面を操作しながら鼻で笑う。京介はそのまま踵を返し、家の方へと歩き出した。
「大体、俺が居ねぇと寂しがる情けねー大人は何処の誰だっつーの!!」



*同僚さん

 家はやはりほっとするものだな。僅かに汗ばんだ首筋を手で扇ぎながら、マンションに帰宅した遊星はふぅと一息ついた。投げ出したスニーカーをそのままに、京介はどたどたとリビングへと向かいソファにどすりと座り込む。それから胡坐を掻いて、テレビの電源を入れた。バラエティ番組が流れ、司会の声が喧しく響く。それからニュースの音に天気予報。適当にチャンネルが回される。
 二人分の靴を直してから遊星も部屋へと上がる。息子の後ろを通り過ぎて、リビングの窓を開けた。途端にぶわりと吹き込んだ風が彼の熱を冷ます。気持ちが良い。行き交う車両の音や人々の話声が聞こえてくる。初秋の日光はまだ熱かった。網戸を締める。直後、ぴりりりりりり、とポケットに入れていた遊星の携帯が鳴り始めた。ガラケーだ。右手の指先で取り出して発信者を確認し、そこに表示されている名前に少し笑みを零して、遊星は通話ボタンを押した。
「もしもし」
『あ、遊星? 僕だけど、今大丈夫かい?』
 どうしたんだブルーノ。そう話す遊星の声を拾い上げた京介の、リモコンを弄んでいた右手が止まる。テレビではニュースキャスターが暦の説明をしている。中秋の名月がなんとやら。
 ブルーノ。その名前に非常に覚えがある。遊星の同僚だ。京介は頭の中で何度か見た男の姿を思い描いた。確か、兎に角背が高くて鮮やかな髪の色をしていた。初めてマンションに遊びに来た時のことを思い出す。やぁ君が遊星の息子さんだね話は聞いてるよ。爽やかに話す男はやけに遊星に馴れ馴れしかった。遊星もそれに応えるようによく笑い、よく喋った。その光景に何だか苛々して、京介はぶっきらぼうに一言「どーも」とだけ答えて、すぐさま自室に引き篭もったのだった。
『昨日頼んじゃった資料のことなんだけど、やっぱり僕が仕上げるよ』
「いや、大丈夫だ。俺がやる。実は七割ほどは出来上がっているんだ」
 昨日の夜少しアイデアが浮かんだから、書き留めておこうと思ったついでに。その言葉に京介の眉がぐんと寄った。夜更かしの理由はそれかよ。
『えっ本当? 凄いなぁ遊星は……あ、じゃあ見直しと残りの三割手伝わせてよ。されっ放しじゃ僕も居た堪れないし』
「そうだな、確かに二人で仕上げた方が認識の擦り合わせもできるな」
『じゃあ決まりだね。因みに今日は忙しいの?』
「今日か? いや特に、」
 大丈夫だ、と答える前に、遊星の右手から携帯が取り上げられる。
「今日はこれから出掛けるんで。じゃな」
『え!? ちょっ、ちょっと、』
 ぷちん。通話終了。京介に奪われた携帯は役目を果たし終えた。呆気に取られる父にそれを放り投げる。落下する前に遊星は慌てて両手でキャッチした。それを確認せずに再びソファへと戻った京介は、今度は胡坐を掻かずごろりと横向きに寝転んだ。テレビのリモコンを操作し、電源を切る。ニュースキャスターは暗闇へと消えた。
「おい、」
「うっせぇ俺は寝る」
 しかめ面のまま、京介は両腕を組んだ。暗くなったテレビの画面には、中途半端に口を開いた遊星が映っている。ざまみろばぁか。反転して映る父の携帯に向かって、心の中で呟いた。電話の向こうの人物は、きっと今頃苦虫を噛み潰したような顔でいるに違いない。
「……我が儘息子」
 くくく、と喉で笑う。そんな父に、京介はもう一度「うっせぇ」と呟いて目を閉じた。



*うたた寝

 ブルーノに謝罪のメールを打つため、遊星はダイニングテーブルに腰掛けた。ソファは京介が占領中である。さっきは息子が済まなかった。かちかちとキーを押して送信。一分もしないうちに再び携帯は震えた。折りたたまれたそれを開くと、画面には「気にしないで!」と書かれている。ありがとう。一言そう返信して、遊星は再び携帯を閉じた。
 テーブルに置かれた白いカップには、ダークブラウンのコーヒーがたゆたう。一口啜ると、砂糖もミルクも入っていないストレートな苦みが口に広がった。それを机に戻して遊星はソファへと近付く。京介はすやすやと昼寝中だ。室内にたっぷりと入り込んだ柔らかい日差しは、京介の寝そべるソファも完全に抱き込んでいる。若い彼には少々暑いかもしれない。そう思い、遊星は窓にレースのカーテンだけを引いた。部屋がほんの僅かに陰る。幾ばくか柔くなった陽光が、遊星をも眠りの世界へといざなう。昨晩中途半端に寝たことが響いているのかもしれなかった。大きな欠伸を一つして、遊星は自室へと向かう。リビングではもう寝る場所はない、今度は自分のベッドできちんと寝よう。若草色の上布団へぼふりとダイブして、遊星は意識を放り投げた。

 夢の中で、遊星は子供と並んで歩いていた。あぁ昔の京介だ。まだ少しだけ若い頃の。今より背の低い京介は自分を見上げて、両手で成績表を持っている。学ランに身を包む息子の頭を、遊星の掌がゆったりと撫でた。夢特有の緩慢な流れで進む世界。そこで笑う京介に、幸福感が滾々と湧いてくる。
 お前は俺の自慢の息子だな。
 音の響かない声でそう伝えると、京介は一瞬はっとした表情を浮かべ、それから視線を少しばかり地面へと外して、小さく口を動かした。
 ありがと、とうさん。
 初めて、自分を父親だと呼んでくれた瞬間だった。
「――ぅ……」
 目が覚めた。目尻にほんの僅かだが涙が滲んでいることに気付いて、遊星は夢の内容を思い出した。京介が中学の頃の夢だ。懐かしい。あの時はまだ背が大分と低かったくせに、それからすぐ成長期に入ってぐんぐん伸び、すぐに自分を追い越してしまったのだった。
 孤児院で働く友人が沈痛そうな面持ちで相談を持ち掛けてきた時のことは、今でもつい最近の出来事のように感じられる。橙色の派手な髪を持つ彼は元気だろうか。そういえば最近は飲み会に誘ってこない。一ヶ月程会わずにいる友人のことを思い浮かべながら、意識を覚醒させようと遊星は身体を起こした。
 自室の扉を開けると、京介が既に起きていた。
「二人揃って昼寝かよ」
 ソファの上で炭酸飲料のペットボトルを両手で弄びながら、京介はつまらなさそうにテレビを見ている。淡い朱色の光で満ちているリビングの掛け時計はもう夕刻を指していた。優に三時間は経過している。
 テレビとソファの間に置かれた低いテーブルにボトルを置いて、徐に京介が立ち上がった。その隙に空いたソファへのそのそとした足取りで向かう。旅行番組の再放送を映すテレビに夕焼けのぼわりとした光が反射して、寝起きの遊星の目に眩しく入り込んだ。後ろからがちゃがちゃと食器のぶつかり合う音が聞こえる。それから小さな電子音に、こぽこぽ。ポットの音だ。
「おら」
「あ」
 骨張った京介の右手が、白いカップを突き出している。昼寝に旅立つ前に飲んでいたコーヒーのカップ。ダイニングテーブルに置きっぱなしだったことを遊星は思い出した。湯気が沸き立つそれを両手で受け取って礼を言う。カップには新しいコーヒーがたっぷりと淹れられていた。
 半分空いたソファに京介が腰掛けた。自分よりすっかり大きくなってしまった息子の体重にソファの左側がぐっとへこむ。京介はテーブルに置かれたペットボトルを再び手に取り、ぐいと喉へ流し込んだ。
 こんな風に、自分のためにコーヒーを用意してくれるまでに成長した息子が、そのうちこの家から居なくなってしまう日がやってくるのだろうか。もう二年もすれば成人だ。自分より先に良い伴侶を見つけるかもしれないのだから。そう遠くない未来に。
 夢の中の京介と隣に座る京介を重ねながら、遊星はそう考えた。同時に無性に切なくなる。死んでしまうわけでもないのに、自分の傍から家族が居なくなってしまう瞬間を想像しただけで、今までの歴史が全て消え失せてしまうような途方も無い寂寥感が遊星を襲うのだった。
「旅行行きてぇな」
 からからとボトルの蓋を回しながら、京介が前触れもなく呟いた。
「旅行……?」
 テレビの中では、老舗温泉旅館が映っていた。白い蒸気に包まれた露天風呂をタレントが案内している。
「まぁ、こんなしみったれた旅館は親父が中年にならねぇと無理か。その頃には俺も金稼いでるし、もっと良いとこ行けんじゃね?」
 そう言ってけらけら笑う京介に、遊星ははたと気付く。
 京介の将来のビジョンに、自分が確実に存在している。
 自分がもっと年を重ねていっても、共に居ることを描いてくれている。それがこの上なく嬉しくて、口元が喜びで緩むのを止められなかった。カップを机に置いて遊星は立ち上がる。カップがかん、と軽快な音を鳴らした。
「行くか、旅行」
「は?」
「ちょっと予約してくる」
「おい遊星、別にすぐ行きてぇなんて、」
 虚を突かれたかのような表情でいた京介は、はっと意識を戻して弁解するように言う。けれどもそれを遮るように遊星の声が重なった。
「俺が行きたいんだ」
 行こう、旅行。
 遊星はそう言って自室へと向かった。何処へ行こうか、そういえば二人で旅行に行くのは久し振りだ、雑誌も買わないといけない。あれこれと急に浮き足立つ父の後ろ姿を見ながら、京介は困惑と呆れ、それと喜びを一気に味わったかのような、何とも言えない笑みを浮かべた。欠席届に書く文面を考えとけよな。伝える為に、京介も遊星の部屋へと歩を進める。
 放り投げた空のボトルが綺麗な放物線を描き、ダストボックスへとシュートされるのを、至極満足気に見届けてから。




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《登場人物紹介》
*遊星さん(28)
会社員。京介を引き取ってからは彼女無し(充分楽しいから)。
23歳の時に友人から相談を受けて京介を引き取る。家事全般こなせるが、最近は少々夜が遅くなりがちなため、週末に一気に食事を作り冷凍保存している。洗濯物はなるべく出勤前に干す。
趣味はバイク。京介が居ない時はだいたい走りに出掛けている。

*京介くん(18)
今年高校3年。見た目も中身も派手な遊星の義理の息子。13歳の時に遊星に引き取られるが、遊星のことは孤児院の職員を通じて以前から見聞きしていた。
遊星のことは父であり兄であり家族であり友人でありという感覚で受け入れている。家事が苦手。痩せ型のくせに大食いで家計を圧迫する。
CD屋でバイト中。たまに孤児院に遊びに行ってはちゃんとやっていけているかクロウに心配される。
ちなみに性格は中学生→チーム満足仕様、高校生→ダークシグナー仕様という感じ。大学生はきっとクラッシュタウン仕様。

*ルドガー先生
京介の担任であり体育教師。ガチムチでムキムキ。生活指導もやっているが京介には何を言っても聞き入れてもらえていないのでもう諦めかけている。寧ろ最近は自分の方向性を変えるべきか悩んでいるそうな。

*ブルーノちゃん
遊星の会社の同僚。趣味も性格も合う遊星が大好き。京介には好かれていない様子。仕事が趣味とか言っちゃうタイプなので彼女ができないが、遊星との仕事が楽し過ぎるので全く気にしていない。
メールにいちいち絵文字や顔文字を付けてくる。社内メールしかり。遊星のマンションに遊びに行きたいが息子に煙たがれるのでどうすべきか策を練っている。

《その他の人物紹介》
*クロウさん
遊星の幼馴染。京介の居た孤児院の職員。
京介が「遊星が家族だったら俺、満足できるかも」とぼそりと呟いたことから遊星に養子縁組を相談する。
飲み会の幹事をよくやっているが最近は金欠で少々控え気味。

*ジャックくん
京介の同級生であり友人。自分のことを学園のキングとか言ってるちょっと痛い子。イケメン。
何かと目立つ京介にいちゃもんつけたかと思えば、一緒につるんで悪巧みするのが趣味。過去に一度高校の三者懇談会で遊星を見たことがあり、その時から遊星が気になってしょうがない青春街道まっしぐら中。畳む
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